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筑波大学ギター・マンドリン部同窓生のコミュニティ・サイト

大村拓

昭和59年 第一学群 人文学類卒  昭和61年 教育研究科卒

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曲の紹介

ブラジルの水彩画
 この曲はサンバのリズムによるノリノリの曲で、ブラジルの第二の国歌とも呼んでも良いような曲です(本当の国歌は全然ブラジルらしくない曲です)。誰もがブラジルといえばこの曲を思い浮かべるような存在で、現に先のリオデジャネイロ・オリンピックの開会式で、しんがりを務めたブラジル・チームの入場曲も、この曲でした。

 しかしこの曲をギターソロで演奏する例はさほど多くはありません。ここで演奏しているのは、ブラジルの名ギタリスト兼アレンジャーのカルロス・バルボサ=リマの編曲で、特徴的な低音を休みなく弾きながら唄の部分を弾き、さらにハーモニクスでリズムを刻むという超絶技巧を要求されます。とくに低音がサンバのリズムになるように常時消音しながら,刻んでいくのはことの他難しく、ライブ演奏にしてはうまく弾けたと自負しています。

 タイトルを聞いてもなじみがない方も、音楽を聴いていただければ、すぐに「ああ、あの曲か!」と思い出していただけることでしょう。


ウム・ア・ゼロ
 この曲を作ったピシンギーニャは、ブラジル音楽界で「ショーロの父」と称される人物です。ショーロとは、ブラジル音楽のジャンルで、正確にはバンドの形態とそこで演奏される典型的な音楽スタイルを指します。ギター・ファンには、ヴィラ=ロボスの音楽でしばしば見かける用語ですね。

 さてここで演奏している『ウム・ア・ゼロ』は、ピシンギーニャの代表作の一つです。タイトルの意味は、ポルトガル語で「1対0」ということで、実はサッカーの試合の得点結果を示しているのです。具体的には,ブラジル代表対ウルグアイ代表戦でブラジル代表が見事勝利したことを、作曲者が喜んで曲にしたということです。いかにもサッカー大国ブラジルらしい曲で、音楽とスポーツが結びついた大変珍しい一例です。

 編曲は、フランスの名ギタリスト兼作曲家であるローラン・ディアンス(故人)で、ディアンスらしい凝りに凝った超難度の編曲になっています。ラテンのリズム感を出すのがことさらに難しく、演奏するのに大変苦労しました。数年前に所属する千葉ソロ・ギター・サークルの定期演奏会で演奏したものです。ライブ演奏なので傷はありますが、ラテンのノリはうまく出せたのではないかと自負しています。演奏後に客席から、「まるでブラジルにいるようだよ!」と声が掛かったのも、嬉しく思っています。

 さて能書きが長くなってしまいましたが、さっそく演奏をお聴きください。ディアンスの名編曲により、曲の最後にブラジル・チームの強烈なシュートがゴール・ネットに突き刺さります。


カルメン (ギター四重奏)
 ご存じビゼーのカルメンから有名どころばかり4曲をギター四重奏で演奏しています。今から約30年前の懐かしい映像で、私も黒い髪がまだちゃんと生えてます!当時所属していた高洲クラシック・ギター・サークルの関係で縁のあった方達と共演しています。指導しておられた平木先生はもう亡くなられました。秋山氏は現在プロとして演奏・編曲に活躍しておられます。


幸福の硬貨組曲 (『マチネの終わりに』エンドロール曲)
 2019年公開の映画『マチネの終わりに』のエンディング・テーマです。この映画は、福山雅治演ずるクラシック・ギタリストと、石田ゆり子演ずる国際ジャーナリストの間の大人の恋を描いたラブ・ストーリーです。音楽は、全編クラシック・ギター1本で支えられています。これほどクラシック・ギターに依存した映画は、過去にも『禁じられた遊び』と『夏の庭』くらいしかないのではないのでしょうか? その意味ではクラシック・ギター愛好者には是非見ていただきたい作品です。

 ただしエンディング・テーマだけは、途中からオーケストラ演奏となり、作品中唯一ギター・ソロ曲ではありません。にもかかわらず、ドラマチックなオケ部分は、映画の余韻にひたれる感動的な音楽で、予告編などにもこの部分が使用されています。せっかくのクラシック・ギター映画なのに、ギター曲が前面に出ないのはもどかしい限りです。

 そこで、このオケ・パートもギター・ソロに編曲して演奏してみたのが、この動画です。世界中で唯一の試みで、YouTubeにアップしたところ、多くの方から好評をもらっています。


瑠璃色の地球
 新型コロナ流行で厳しい自粛が続く中、知らず知らずのうちに、「夜明けの来ない夜はない…」とつぶやいていました。これって実は、松田聖子の『瑠璃色の地球』の冒頭の一節でした。そこで新型コロナと闘う医療関係者をはじめとするすべての人に捧げるため、この曲をギターソロで演奏してみる気になりました。

 『瑠璃色の地球』はシングル曲ではないにもかかわらず、楽曲の良さから高い評価を受けている作品です。紅白歌合戦でも2度歌われました。作詞は80年代ポップスを牽引したあの松本隆です。

 ギターソロの編曲は、現代ギター誌に掲載された楽譜をベースに、松田聖子のオリジナルに近くなるように多数手を加えました。またオリジナルでは、終盤で半音高く転調するところは、半音高く調弦して演奏し、繋ぎ合わせました。歌詞の素晴らしさを味わってもらいたいため、字幕も入れました。


筑波大学ギター・マンドリン部 OB・OG会

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