ギターソロ演奏:福富康夫
シャコンヌとは音楽の形式を指します。しかし、シャコンヌといえばバッハのこの曲を指すほど有名な曲です。この曲は過去に、一回だけ、大学院生の時に弾きました。田舎から出てきて筑波大学に入学して間もなく知ったので、かれこれ7年くらい弾き始めてからステージに上げました。有名なセゴビア編とかピアノのプゾーニ版を思わせるイエペス版などがありますが、私は、よりシンプルな、阿部保夫編を用いました。当時は怖いもの知らずというか、何でも弾いてやるという意識が強かったのだと思います。出だしから、もう、100%の力を出し切って最後まで一心不乱に弾いて、最後の4弦のハイポジションで出す、単音の「ミ」の音で、初めて、ここでしくじらないようにと、左手3の指でしっかり押さえて我に返ったのを今でも思い出します。
終わった後で、放心状態になり、録音を聴くのが怖くてしばらく聴くことができませんでした。ただ、40年近く前のことではありますが、ギター部の後輩であった、今は亡きN君から、「福富さん、よかったですよ」と、演奏直後に声をかけられたのを今でも覚えています。
大学院博士過程を修了して東京に来る前に、後輩から、録音カセットテープをもらって、今は笑って、第三者的に聴けますが、こいつは凄いなと思える演奏だったと思います。そこで、私の大好きなバッハの他の曲と一緒にして、組曲第四番のプレリュード(1991年、アメリカで録音して、当時のボスであったK博士(数年前に他界)にラジカセで録音して差し上げた)と共に、故人を偲び、このアルバムのタイトルとさせていただきました。
そして、1983年のライブ録音を骨格として、あの録音に負けないような男性的な音色を出すフレタで弾いた組曲第一番BWV996。
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