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筑波大学ギター・マンドリン部同窓生のコミュニティ・サイト

福富康夫

創設者  取得学位:理学士、医科学修士、医学博士(生物系)

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略歴と演奏

 1957年 島根県生まれ。幼少よりクラシック音楽に親しみ、就学前は、オルガン、小学生時代はヴァイオリン、中学生時代は吹奏楽でトランペットを吹いていた。中学時代から独学でギターを弾く。当時から、小型スピーカー付きレコードプレーヤーでベートーベンなどの交響曲をよく聴いていた。

 当時、市内にギター教師がおらず、中学校においてあったギターミュージックが唯一の情報源であった。そしてその雑誌に付録で付いていたレコードを聴いて小原聖子先生のアルハンブラの想い出やイエペスの演奏したソルのエチュード「月光」を聴きながら、トレモロ奏法とはどう弾くのか訳も分からず空想の世界であった。ナルシソ・イエペスの 2枚組のレコードを、その当時、市内に唯一1件あったレコード屋で購入。高校生になってから、アストゥーリアス、グラナダなどアルベニスの作品を聴きながら弾けるようになるまで弾いていた。この頃、NHK教育テレビで「クラッシックギター講座」と称した番組がスタートして初めてトレモロ奏法やアストウリアスのアルペジオ奏法について知る。

 大学時代、大バッハが作曲した器楽曲からミサ曲に至る幅広い楽曲の数々を知ることになり、この偉大なバロック音楽の作曲家に傾倒し、また、それを具現化しようとする鍵盤楽器奏者であるグレン・グールドの独特な演奏スタイルに心酔した。ギターは20歳を過ぎてから初めてSO氏に師事。新設だった筑波大学に入学してギターやマンドリンを弾く仲間を集め、ギター部を新設し学生同士で合奏や重奏を行い、毎年定期演奏会を開催して部として機能し始めていた頃である。

 部設立当時のメンバーは同級生数名と学類で一学年先輩の方一人、一級下の同じ学部のマンドリンを弾いていた女学生数名からスタートしたが、自身の大学院進学から学位取得と何かと忙しくなった時期が重なり、グループでの活動がままならなくなった。師から勧められた学生ギターコンクール出場の話もいつの間にか消え去ってしまっていた。その頃、夜中に研究が一段落したところで弾くギターの音色の心地よいこと。

大学には10年間お世話になって、最後の方は学位論文と共に本CDで録音されているシャコンヌやアルハンブラの想い出をギター部の演奏会でソロで弾かせて頂いて,その時の録音が私の財産となっている。シャコンヌはこの時が後にも先にも人前で演奏したのは一回きりである。トレモロ練習曲としてタレガが作曲したアルハンブラの想い出は、後述するアメリカでの客員研究員生活の最後に、当時 Laboratory Research Branch Chief JLK博士(数年前に他界)にラジカセで録音した演奏を献呈するなど、機会があればその都度弾いてきた。


最初は高校の演劇部の夕日が沈む場面か何かでBGMとしてつかってもらい、また、卒業式の最後に体育館で全員を前にお礼として弾いた記憶があり、大学に入ってからも入学式後のオリエンテーションで学類か学群の代表でアトラクションとして大勢の前で弾かせて頂いたことを記憶している。現在の師であるKY先生の門下生による演奏会でも最初のソロステージでの曲を弾いている。

この美しい旋律はギターという楽器を超えて普遍的な楽曲として今後も人々の記憶に受け継がれていくのではないかと常々思っている(後述)。このトレモロ奏法の音のイメージは本レコーディング中、最初の1984 年のライブでお聴き頂ける。作曲者のタレガの弟子にエミリオ・プジョール先生。そして、プジョール先生を師と仰いで1960年代に渡西されたKY先生から学んだ弟子としてとても光栄なことである。2003年の録音ではフレタという楽器を用いてアルハンブラを弾いた。師からのレッスンでこの曲を弾いてタレガの孫弟子としてこのアルハンブラはこれまでの演奏の中で最も充実したものとなった(と思っている)。ちなみに、録音には一切編集を加えていない。

 2005年頃より原因不明の肩こり、足がもつれてしまうなどの体に異変を感じ、もしやと思い専門医をたずねたところ、初期のパーキンソン病(PD)との診断。この10年来、病魔に侵され、指先の自由な動きを失ってからギターを弾くのも大変であるが、苦痛を伴う大手術に耐えリハビリにより復活した。最後に録音されている曲は、暫くギターから離れた復帰後に弾いている。作曲家でもあったタレガも晩年、脳梗塞で体が麻痺してギターが弾けない苦しみがあったと聞く。

 上京して所属研究室教授からの勧めで現在の厚生労働省の研究所に入省後、暫くギターから離れていたが、長年のブランクののち米国での2年間(1989年〜1991年)の客員研究員としての研究活動終了し帰国を機に再開。2000年からはKY氏に師事している。これまでのソロレコーディングは、レコーディングで経験の造詣の深い鹿児島大学医学部のG先生に依頼して、互いに多忙な合間、自宅やホールを借用して行ってきた。

 2000年に鹿児島大学医学部にて演奏者の専門分野である医学関係に関する招待講演を行った後、その足でG氏の自宅を訪問し第一回目の録音を行った。氏の録音理論と実際に録音された自然な音を聴いて演奏者が共感し、以後録音を行ってきた。基本的にデジタル録音である。

 ディスク1のバッハのリュート組曲など、本レコーディングで中核を担っている曲において、フレタの独特の低音、分離度のいい中音域、繊細で艶のある高音域が明確に各旋律を浮き立てている。2006年の録音ではワイスガーバーという楽器を弾いているが、フレタとは対照的に透明感のある繊細な音色を持っていた。楽器の差を感じ取って頂ければ幸いである。バッハのプレストやジーグのような2〜3声で進行する対位法のそれぞれの旋律がくっきりと演奏されているのも楽器を操る演奏者の技術の高さと曲の解釈力を垣間見ることができて興味深い。


演目

(福富氏の音楽を愛する一ファンよりのメッセージ)
 こうやって氏の演奏を聴いてみると、学生時代から技術的な向上を目指してきたのみではなく、一貫した何らかのスピリチュアルな世界を表現しようとしているのを感じる。あの崇高なシャコンヌのけがれのない演奏を何回も聞いていると、氏の表現したいことが何であるか、氏の音楽に対する姿勢が読みとれて、共感を覚えた人々は彼の奏でる音に共鳴するのである。それ程、ギターという楽器はその人の性格、その時々の心象が表出される楽器であろう。まさに、KY氏が常日頃より言っている「ギターはミューズ(神様)の楽器だから」という表現がぴったり合った記念のCDを作成されたと思う。

クラッシックギター名曲集
 ディスク No.1:「アルハンブラの想い出、シャコンヌ」
  トラック番号     作曲者 曲名 
     1  タレガ アルハンブラの想い出(筑波大学会館ホール、ライブ録音)1984
     2  アルベニス コルドバ(筑波大学会館ホール、ライブ録音)1984

     3  J.S.バッハ プレリュード(無伴奏チェロ組曲第1番 BWV1007 より)2003
    
 4  J.S.バッハ プレリュード(第2番 BWV1006a より)2003
    
 5  同 ガボット
    
 6  J.S.バッハ プレリュード(リュート組曲第1番 BWV996より)
     
7  同 アルマンド
     8  同 クーラント
     9  
同 サラバンド
    10 同 ブーレ
    
11 同 ジーグ
    
12 J.S.バッハ シャコンヌ(無伴奏バイオリン・パルティータ第2番 BWV1004 より)
                            (筑波大学会館ホール、ライブ録音) 1983

    13 グラナドス スペイン舞曲第5番 アンダルーサ 2003

(注) トラック1と12は 1983年及び1984年、学生時代のライブ演奏。 2003とあるのは2003年、自宅にて録音。フレタ一世。


 ディスク No.2:「バッハとソル、タレガ」
  トラック番号     作曲者 曲名
     1    作者不詳 コレンタ
     2    J.S.バッハ プレリュード(BWV998 より)
     3    J.S.バッハ 前奏曲(リュート組曲第1番 BWV996 より)
     4    同 アルマンド
     5    同 クーラント
     6    同 サラバンド
     7    同 ブーレ
     8    同 ジーグ
     9    F.ソル エチュード 第3番
    10    同 第4番
    11    同 第5番 月光
    12    同 第6番 夢
    13    同 第15番
    14    同 第13番
    15    同 第14番
    16    タレガ プレリュード
    17    同 メヌエット
    18    同 ラグリマ(涙)

(注)2006年10月、みやまホールでの録音。ギターにとって音響効果の良い鹿児島県にあるミヤマ小ホールにて一日かけて録音。当時は革新的であった24bit、4チャンネル録音から最小限の編集を施して、2チャンネルにミキシングしたディスク。


 ディスク No.3:「ギター小品集」
  トラック番号      作曲者 曲名
     1    タレガ アルハンブラの想い出 2003
     2    ラモー 2つのメヌエット 2001
     3    S.L.ヴァイス ファンタジー 2003
     4    フレスコバルディ アリアと変奏* 2003
     5    スコットランド民謡 グリーンスリーブス 2001
     6    ヘンツェ ノクターン 2001
     7    フェレール タンゴ第3番 2001
     8    メンデルスゾーン(タレガ編)ヴェネツイアの舟歌
     9    タレガ アデリータ 2001
    10    コスト 舟歌 2001
    11    コスト エチュード(25のエチュード集より) 2003
    12    ラウロ ベネズエラワルツ第3番「ナタリア」 1991
    13    ヴィラ・ロボス ショーロス第1番 1991
    14    カタロニア民謡(M.リョベート編)クラベリトス 1991
    15    同 アメリアの誓い 2003
    16    同 聖母の御子 2003
    17    スペイン民謡 愛のロマンス 2003
    18    アルベニス タンゴ 1991
    19    アルベニス グラナダ 1991
    20    同 カディス 2003
    21    タレガ 練習曲 ホ短調 2013

(注)1991年から2003年までの演奏が収録されている。*19世紀初頭に製作されたオリジナル楽器による、古典曲の演奏(モーシャン、製作、1825年頃、フランス)。**1991年の演奏。帰国前に米国にて、友人から借りたギターを使用してラジカセの一発録りで録音。演奏者の録音したカセットテープ記録。


 ディスク No.4:「バッハ名演奏集:シャコンヌ」
  トラック番号     作曲者 曲名
     1    ラモー 二つのメヌエット 2001
     2    ヴァイス ファンタジー 2003
     3    J.S.バッハ プレリュード(組曲BWV1006aより)1991
     4    同 ガボット(組曲BWV1006aより)2003
     5    同 プレリュード(無伴奏チェロ組曲第一番より)2003
     6    J.S.バッハ プレリュード(リュート組曲第一番 BWV996)2003
     7    同 アルマンド
     8    同 クーラント
     9    同 サラバンド
    10   同 ブーレ
    11   同 ジーグ
    12   J.S.バッハ シャコンヌ(無伴奏バイオリン・パルティータ第2番 BWV1004 より)
                            (筑波大学会館ホール、ライブ録音) 1983


 ディスク No.5:「アルハンブラの想い出」
  トラック番号      作曲者 曲名
     1    グラナドス スペイン舞曲第5番 アンダルーサ 1991
     2    タレガ アルハンブラの想い出(ライブ)1984
     3    タレガ アルハンブラの想い出 1991
     4    タルガ アルハンブラの想い出 2003
     5    グラナドス スペイン舞曲第5番 アンダルーサ 2003
     6    タレガ プレリュード第2番 2004
     7    タレガ プレリュード第3番 2004
     8    タレガ アデリータ 2001
     9    タレガ 2つのプレリュード 2006
    10    ヘンツェ ノクターン 2001
    11    コスト 舟歌 2001
    12    フェレール タンゴ第3番 2001
    13    カタロニア民謡 アメリアの遺言 2003
    14    カタロニア民謡 クラベリトス 1991
    15    カタロニア民謡 聖母の御子 2003
    16    スペイン民謡 愛のロマンス 2003
    17    ヴィラ・ロボス ショーロス第一番 1991
    18    ラウロ ヴェネズエラワルツ 1991
    19    アルベニス グラナダ 1991
    20    アルベニス タンゴ 1991
    21    アルベニス カディス 2003
    22    バリオス 森に夢みる Feb 1978 Rev 2019 0323


 ディスク No.6:「リサイタル」
  トラック番号      作曲者 曲名
     1    作者不詳 コレンタ 2006
     2    J.S.バッハ プレリュード(BWV1006a)2001
     3    J.S.バッハ プレリュード(BWV995)2010R
     4    J.S.バッハ アルマンド(BWV995)2005
     5    J.S.バッハ プレリュード(BWV998)2006
     6    J.S.バッハ プレリュード(BWV996)2006
     7    同 アルマンド
     8    同 クーラント
     9    同 サラバンド
    10    同 ブーレ
    11    同 ジーグ
    12    コスト エチュード 2003
    13    ソル エチュード3番 2006
    14    ソル エチュード4番
    15    ソル エチュード5番
    16    ソル エチュード6番
    17    ソル エチュード13番 ニ短調 6度
    18    ソル エチュード14番
    19    ソル エチュード(アルペジオ)2009R
    20    タレガ メヌエット 2006VD

(注)
 1983、1984 1983年及び1984年 学生時代のライブ演奏。
 2001 2001年 鹿児島、G先生宅。
 2003 2003年 自宅リビングにて録音。フレタ一世(1958年製、スペイン)。
 1991 1991年 アメリカ、ルイジアナ州カービルの研究センターで録音
    (ラジカセによる録音テープからデジタル化、未編集)。
 2006 2006年10月 みやまホールでの録音。
      ワイスガーバー一世(ラベルには1943年と書いてある)。
      ギターにとって音響効果の良い鹿児島県にあるミヤマ小ホールにて一日かけて録音。
      当時は革新的であった24bit、4チャンネル録音から最小限の編集を施して、
      2チャンネルにミキシングした。
 2010 2010年 自宅録音。


 ディスク No.7:「ホームコンサート2002、オールドの響き」
  I部 通常のギターによる演奏
  トラック番号      作曲者 曲名
     1    グリーンスリーブス変奏曲(カッティング編)
           リュートのための6つの小品集
     2      Pureludio
     3      Bianca
     4      FioleDanza
     5      Galiarda
     6      Canzonne
     7      Saltallero
     8    グラナドス スペイン舞曲第5番 アンダルーサ
     9    タレガ アルハンブラの想い出

  U部 19世紀製作オリジナルギターによる演奏
  トラック番号      作曲者 曲名
    10    ヴァイス ファンタジー
    11    J.S.バッハ プレリュード(BWV995)
    12    J.S.バッハ プレリュード(BWV996)
    13    J.S.バッハ プレリュード(BWV1006a)
    14    同 ルーレ
    15    同 ガボット
    16    同 ブーレ
    17    同 ジーグ


 ディスク No.8:「ギター演奏小品名曲選集」
  トラック番号      作曲者 曲名
     1    丘を越えて(古賀政男、島田芳文1931)**
     2    ソル 練習曲「月光」
     3    ソル 練習曲「夢」
     4    J.S.バッハ プレリュード ハ長調(平均律クラヴィ―ア曲集より)**
     5    ヴィヴァルディ アンダンテ(マンドリン協奏曲第2楽章)
     6    J.S.バッハ ガボット(BWV1006a)
     7    ヘンツェ ノクターン
     8    コスト 舟歌
     9    浜千鳥(1920)**
    10    タレガ アルハンブラの想い出
    11    浜辺の歌(1916)**
    12    アルベニス タンゴ
    13    フェレール タンゴ第3番
    14    グラナドス スペイン舞曲第5番 アンダルーサ
    15    J.S.バッハ プレリュード(BWV1006a)
    16    タレガ アデリータ
    17    タレガ ショパンのワルツ
    18    タレガ ラグリマ
    19    J.S.バッハ プレリュード(BWV1007)
    20    真っ赤な秋(1963)**
    21    スペイン民謡 愛のロマンス
    22    みかんの花咲く丘(1947)
    23    カタロニア民謡 聖母の御子
    24    S.L.ヴァイス シャコンヌ**
    25    君が代

(注)
 ソロ、二重奏 played by HTG** (Harmony of Two Guitars)
 **ニ重奏 福富康夫(左側)、川合昭雄(右側)
 日本の歌は発表後50年以上経過したものを使用(カッコ内は発表年)


筑波大学ギター・マンドリン部 OB・OG会

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